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折込チラシを配布するタイミングについて~プロが考えるデータに基づく計画方法~

作成者: 鷹野寛之|2022/05/28 6:37:44

 新聞折込チラシを配布するときに、効果を上げるために考えるべき要素として、「届ける内容(チラシのデザイン)」「チラシのサイズ」「チラシを配布する場所」などの要素があります。

参考:はじめての折込広告~基礎知識と実施方法(手順や予算感)~

参考:折込チラシは一般的にどのサイズがいいのか~業種別のサイズ傾向と注目率の違い~

こちらの記事では、もう一つ重要な要素、配布するタイミングについて、どのように計画をすべきなのか、実例を交えて、ご案内したいと思います。

 折込広告を配布するときに考えるポイントは3つあります。「消費者にとっての受けとる状態を考える」「届けられているチラシの合計枚数の少ないところを狙う」「チラシを見る習慣に合わせる」という考え方です。

 

消費者のチラシを受けとる状態を考える

 チラシを受けとる状態を何よりも先ず考えなければいけません。例えばユニクロのチラシは多くの場合、金曜日に配布されています。これは、週末、土曜日・日曜日に購買行動を期待している部分もあり、金曜日に配布する、という考え方です。ただ、店舗来店促進の効果を狙ったときに、週末に来てほしいから、すべて金曜日配布とはなりません。

 マンションのモデルルームに来てほしいと考えるとどうでしょうか。イベントは土日だったとしても、週末お休みの旦那さんにもチラシを見てほしいので土曜日にチラシを入れるという考え方があるかもしれません。

 では、水曜日の朝市を開くスーパーであれば、どのタイミングで入れるでしょう。水曜日の朝刊でチラシを入れてしまっては、チラシを見た頃にはもう朝市は終わってしまっているかもしれません。それでは消費者によってプラスの情報にはなりません。朝市が開かれる水曜の前日、火曜日にチラシを配布するのが消費者想いの届け方と言えるでしょう。

 チラシが、どのタイミングで家に届き、それぞれがどのように見て、態度変容を期待するかのカスタマージャーニーを思い浮かべて配布する日付を計画する必要があります。

 

届けられているチラシの配布枚数が少ないところを狙う

 一般的には、週末の購買行動を期待してのチラシ配布が多いため、金曜日や土曜日は、総じてチラシの家庭にど毒枚数が多くなります。曜日別の比率は2018年の統計を見ても下記の通り、金土に集中しています。これは長年変わらない傾向です。

 逆を言えば、金曜日土曜日には配布が集中しているため、1日に同時に入る枚数は多いということが言えます。枚数が多いと、目立たないということは往々にして起こります。1日に家庭に入る枚数の平均は13.2枚ですが、目立たせるなら金曜日や土曜日よりも、月曜日などに入れたほうがいいかもしれません。

 通信販売のチラシが月曜日、火曜日に多いのは、この「届けられているチラシの配布枚数が少ないところ」を狙って、できる限り目立つ・目に留まるように配っている企業が多いためであることが考えられます。ビジネスの内容によっては、配布枚数が少ないところを狙うのは有効な手段になります。

 

チラシを見る習慣に合わせる

 近年、新聞の発行部数減により、チラシの効果が下がっているということを言う人がいます。

たしかに全国でチラシを同時に1日で届けられる数は、3,400万部と一昔前よりは数を減らしました。(3,400万部・・・数が少ないとも思えませんがね。。)販促はデジタルにしつつあるところもあり、チラシの数は前年比で少しずつ数が減っていることは間違いありません。

 ただ、新聞の購読を続けている人。その新聞に入っているチラシの見られ方というのはあまり習慣が変わっていない傾向があります。ほぼ毎日チラシを見る人の比率はここ10年くらいでもあまり変わっていないというデータがあるのです。

 それは、生活のなかでチラシを通じて地域の情報であるとか、商品・サービスの情報を見る方はいらっしゃるということです。先に挙げた、ユニクロのチラシなら金曜日にチラシが見られることに消費者からも一定の期待があり、見ることを習慣にしている人がいるのです。他にも、大手のスーパーであれば下記のようにチラシが入るタイミングにはどこも傾向があります。

 チラシを見続けている人にとっては、「◯曜日にはこのチラシが入るな」というのは意識のなかに残っていて、それを習慣的に探したり、注意して見るようなことが起きています。

 チラシをCRMの一環として考えて、同じ曜日に配布することで消費者に届けるのも、チラシの配布タイミングを考えるときには考えるべきことです。(ケーヨーD2のチラシであれば、見る人も木曜日に届くだろうことは意識の中にあるでしょうね。)

 

チラシの配布タイミングを考える(2019年、GWの10連休の場合)

 チラシを配布するのも、繰り返しではなくて、スポットで利用する場合は、日付については個別に考えていく必要があります。例として2019年の4月末から5月末の10連休について。日本の社会が経験をしたことがない祝日が続く日程になり、折込の配布日についても、わたしたちは個別の案件で、データや推論を立てて配布タイミングをご提案しました。

 まず、わたしたちがデータと経験則から立てた、推測は下記のとおりです。

 

 連休に入るタイミングにもっとも投下が集中することを昨年の出稿枚数から推測していました。また、平成最後の日、令和の1日目に当たる2019年5月1日も少し配布が集中するのではないかと考えました。さらに、連休明けは毎回枚数が多い傾向があったため、今回も枚数は少し増えるであろうことを予測していました。この予測は経験則もありますが、過去の出稿傾向データを元にして立てています。

 過去のデータは大いに役立てることができます。

 では、実際の配布枚数の傾向はどうだったでしょうか。2019年のゴールデンウィー区のチラシ枚数は下記のグラフの通りでした。

 令和へ改元するタイミングのチラシは予想より多くはなかったのですが、概ね予想通りの傾向だったと言えます。これらの予測は、過去の統計データ。その年固有の曜日回り、トレンド、他の外的要因、経験則で予測を立てます。

 他と被らないように戦術を立てるためには、チラシの配布タイミングは重要な要素です。できる限りデータに基づいて計画を立てて、チラシの効果を上げられるようにしましょう。「消費者にとっての受けとる状態を考える」「届けられているチラシの合計枚数の少ないところを狙う」「チラシを見る習慣に合わせる」という3点にデータを加えて、届ける内容に合わせた計画を立てれば、よりチラシの効果を上げることができるでしょう。

 もし配布のタイミングでお困りのことがありましたら、データやアドバイスを差し上げます。お気軽にご相談いただけたらと思います。