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リテールメディアと店舗改善の取り組み

作成者: 鷹野寛之|2024/05/20 23:18:14

 リテールメディアとは、小売業者が自社のデータや広告スペースを利用してメーカーやブランドに広告を提供するビジネスモデルのことです。この新しい形態の広告は、従来の広告手法と比較して、よりターゲットを絞った効果的なアプローチを可能にします。特に、ウォルマートやAmazonなどの大手リテーラーは、自社の豊富なデータを活用して店舗のパフォーマンスを向上させる取り組みを進めています。

 

目次
  1. ウォルマートの取り組み
  2. Amazonの取り組み
  3. 日本のマツモトキヨシとマツキヨアドの取り組み
  4. ファミリーマートの店内メディア
  5. イトーヨーカ堂のリテールメディアプロジェクト
  6. 日本におけるリテールメディアとして機能している折込チラシ
  7. まとめ

 

ウォルマートの取り組み

 

 ウォルマートは自社の膨大な購買データを活用して、消費者の購買行動を詳細に分析し、最適な商品配置やプロモーションを展開しています。これにより、顧客満足度を高め、売上を向上させることができるのです。

 ウォルマートのユニークな取り組みとして、「スマートカート」の導入が挙げられます。スマートカートは、顧客がカートに入れた商品の情報をリアルタイムで表示し、レコメンデーションや特価情報を提供するシステムです。これにより、顧客は店舗内でのショッピング体験を向上させ、必要な商品を効率的に見つけることができます。さらに、ウォルマートは自社アプリを通じて、顧客が店舗に到着する前に購入リストを作成し、スマートカートと連動させることで、スムーズなショッピングを実現しています。

 

Amazonの取り組み

 

 Amazonはその強力なデータ解析能力を駆使して、顧客にパーソナライズされた広告や推奨商品を提供しています。これにより、顧客一人ひとりのニーズに応えることができ、リピート購入を促進しています。

 Amazonのユニークな取り組みとして、「Amazon Go」店舗の展開があります。Amazon Goは、レジなしの店舗として、顧客が商品を手に取り、そのまま店舗を出るだけで自動的に購入が完了するシステムです。カメラやセンサーを駆使して顧客の動きをトラッキングし、購入データをリアルタイムで収集します。この革新的な取り組みにより、顧客は待ち時間なく快適なショッピングを楽しむことができ、Amazonは顧客の購買データをさらに詳細に分析することが可能となっています。

日本のマツモトキヨシとマツキヨアドの取り組み

 

 日本においても、リテールメディアの活用が進んでいます。その代表例が、ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシです。マツモトキヨシは「マツキヨアド」という広告サービスを展開しており、店舗内外のデジタルサイネージやスマートフォンアプリを通じてメーカーの広告を配信しています。この取り組みにより、メーカーはより効果的に自社商品を消費者にアピールすることができます。

 マツモトキヨシは、顧客データを活用して、個々の顧客に最適なプロモーションを提供しています。例えば、若い女性向けの商品は、20代から30代の女性が多く訪れる店舗や時間帯に合わせて広告を展開します。一方で、高齢者向けの商品は、シニア層が多く訪れる店舗や時間帯に合わせてプロモーションを行います。このように、顧客の属性や行動に応じたターゲティングを行うことで、プロモーションの効果を最大化しています。

 さらに、マツモトキヨシは、店舗内でのデジタルサイネージを活用して、リアルタイムでプロモーション情報を配信しています。これにより、顧客は店舗に訪れた際に最新のプロモーション情報を得ることができ、購買意欲が高まります。例えば、季節限定のスキンケア商品や、期間限定の割引情報をデジタルサイネージで表示することで、顧客の購買行動を促進します。

ファミリーマートの店内メディア

 

 もう一つの例として、ファミリーマートの店内メディアがあります。ファミリーマートは、店内のデジタルサイネージ「FamilyMartVision」を通じて、リアルタイムで広告やプロモーション情報を配信しています。この取り組みでは、エンタメ情報、アート、ニュース、地域情報など、多様なコンテンツが配信されており、広告の効果を高めています。さらに、ファミリーマートはスマートフォンアプリ「ファミペイ」を活用して、個々の顧客にパーソナライズされたプロモーションを提供しており、顧客のニーズに応じた効果的なマーケティングを実現しています。

イトーヨーカ堂のリテールメディアプロジェクト

 

 イトーヨーカ堂は2024年3月1日に「リテールメディアプロジェクト」を発足させました。このプロジェクトは、リテールメディア事業を開発・推進するための専門組織として設立されました。プロジェクトの一環として、子会社のイトーヨーカドーネットスーパーは、ネットスーパー利用者に送付するフリーペーパー「ぽちたす」を創刊しました。このフリーペーパーは、広告主からの広告出稿も獲得し始めており、イトーヨーカ堂独自のリテールメディアの確立を目指しています。

 「ぽちたす」は月に一回発行され、商品部と編集部が協力して企画・制作しています。フリーペーパーのコンテンツは、商品の特徴や魅力を伝えるものであり、消費者にとって有益な情報を提供します。また、広告主にとっても効果的なプロモーション手段となっており、広告収入を得ることができています。イトーヨーカ堂は、このような取り組みを通じて、顧客とメーカーの双方に価値を提供することを目指しています。

日本におけるリテールメディアとして機能している折込チラシ

 

 伝統的な広告手法である新聞折込チラシも、依然として重要な役割を果たしています。特に、店舗周辺地域においては、折込チラシを通じて効果的に情報を届けることができます。さらに、メーカーが新聞折込チラシを配布する際、同時にその商品が店舗の棚に陳列されることも少なくありません。これにより、消費者はチラシで見た商品を実際に店舗で手に取ることができ、購買意欲が高まるのです。

 新聞折込チラシの最大のメリットは、消費者が店舗に行く直前に見ることが多いため、リーセンシー効果が高い点です。具体的には、消費者が購入を検討する直前に最新のプロモーション情報を目にすることで、その情報が購買行動に直接的に影響を与えることができます。

 また、新聞折込チラシはWEB広告と比較してもコストパフォーマンスが高いです。例えば、WEB広告のクリック単価が約20円であるのに対し、新聞折込チラシはB4サイズで10円以下のコストで1家庭に届けることができます。これにより、広範囲にわたる消費者に対して効果的に情報を伝えることができ、特に日本では今でも有効なメディアとして活用されています。

 さらに、新聞折込チラシもリテールメディアの一形態として捉えることができます。地域密着型の情報伝達手段として、新聞折込チラシは地域の消費者に直接アプローチできるため、特定のターゲットに向けた効果的なマーケティングが可能です。このように、新聞折込チラシはデジタルメディアと併用することで、より多角的なプロモーション戦略を実現できます。

まとめ

 

 リテールメディアは、店舗のパフォーマンスを向上させるための強力なツールです。ウォルマートやAmazonが先駆けて進めているデータ活用の取り組みは、日本の小売業界においても注目されています。マツモトキヨシの「マツキヨアド」やファミリーマートの店内メディア、そして伝統的な新聞折込チラシの活用など、多様な手法を組み合わせることで、消費者への効果的なアプローチが可能となります。リテールメディアの活用によって、今後ますます効果的なマーケティング戦略が展開されることが期待されます。

 消費者のニーズや行動を詳細に把握し、それに基づいたプロモーションを展開することで、リテールメディアは小売業者にとって欠かせないツールとなっています。ウォルマートやAmazonの成功事例を参考にしながら、日本の小売業界も積極的にデータ活用とターゲティングを進め、顧客満足度を高める取り組みを続けることが重要です。また、新聞折込チラシのような伝統的なメディアも、コストパフォーマンスやリーセンシー効果を考慮すると、依然として有効な手段であることを忘れてはなりません。

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