近年、インターネットの普及とスマートフォン端末の進化に伴い、電子商取引(EC)は急速に成長しています。今回の記事では、令和5年8月に経済産業省が発表した令和4年電子商取引に関する市場調査報告書から日本の電子商取引(EC)市場の規模やEC化率、今後の展望について解説していきます。
(※本記事内の数値データ等は「令和5年8月 経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」から引用しています。)
EC化率とは
EC化率とは、すべての商取引において、EC(電子商取引)の市場規模が占める割合を示す指標です。つまり、「ネットを通じて商品を購入した割合がどのくらいか」を示したものです。
EC化率は、以下の計算式で算出されます。
EC化率 = (EC市場規模 / 全体の商取引規模) × 100
例えば、ある国の年間の全商取引規模が100兆円で、そのうちEC市場規模が10兆円だった場合、その国のEC化率は10%となります。EC化率が高いほど、企業がECを活用している割合が高いことを意味します。EC化率は、企業の業種や規模、地域によって異なる傾向があります。
EC化率を見ることで、国や産業ごとのECの普及度やEC市場の成長性を知ることができます。
また、 業種よるEC化率の違いをみることができ、例えば、書籍や家電などはEC化率が高い傾向がありますが、食品や衣料品などはまだ低い傾向があります。
EC化率は、インターネット通販市場の規模や成長性を把握する指標として、様々な企業や機関で利用されています。EC事業者は、自社の事業の進捗状況や市場全体の動向を把握することもできます。
BtoC市場の規模と動向
最新数値の2022年日本国内BtoC-EC市場規模は22兆7,449億円となり、前年比9.91%増加しました。
各分野別で見ると、物販系(食品や化粧品、家電、衣類など「物」を対象とする分野)は13兆9,997億円で前年比5.37%の増加、サービス系(旅行、宿泊、飲食、レジャーなど「サービス」を対象とする分野)は6兆1,477億円で前年比32.43%の増加、デジタル系分野(電子出版や音楽配信や動画配信、オンラインゲームなど「デジタル」を対象とする分野)は、2兆5,974億円で前年比6.1%の減少しています。
≪動向≫
コロナの影響: 2020年にはコロナの影響で、外出自粛や巣ごもり需要により、EC市場が大きく拡大しました。特に、食品や日用品などの必需品や、エンタメグッズなどの需要が高まりました。
越境EC: 海外からの購入も増えています。2022年の日本の越境BtoC EC市場規模は3,954億円となり、前年比12.4%増加しました。
スマホ化: スマートフォンの普及により、いつでもどこでも買い物できるようになり、EC市場の成長を後押ししています。
OMO: オンラインとオフラインの顧客体験を融合するOMO施策も進んでいます。
サブスクリプション: 商品やサービスを定期的に購入できるサブスクリプションサービスも人気です。
D2C: メーカーが消費者に直接商品を販売するD2Cブランドも増えています。
ライブコマース: ライブ配信で商品を紹介・販売するライブコマースも注目されています。
世界のBtoC市場のEC化率の予測
2022年の世界のBtoC市場におけるEC化率は、19.3%です。世界的にECの需要が増加傾向にあり、経産省の予測によると、2026年にはEC化率は約23.3%に達すると予想されています。
コロナによる「巣ごもり」需要も現在では、外出需要が増加し、EC化率の伸び率自体は鈍化しているといえますが、経産省の予測のように国内外の各分野でEC化率は伸び、企業のEC化への取り組みも促進されます。
EC化率が高い地域や業種では、EC市場の競争が激化し、企業間の差別化が重要となります。
消費者は利便性やサービスの質などを重視する傾向があり、高品質な商品やサービスを提供することが求められます。そのため、企業は顧客のニーズに合わせた戦略を立て、競争力を持つことが求められます。
直近では、Yahoo!検索で商品情報などを検索した際に表示される「コマース検索」モジュールに、新たに商品情報を掲載できるサービスが開始されています。Google広告のショッピング広告など、EC事業者向けの広告プロダクトを次回のブログで解説していきます。